2016年2月3日水曜日

神戸港開港のころ創業した老舗でいただくお肉の味 2015/12/6




日本にとどまらず海外のセレブの間でも高級和牛として知られている神戸ビーフ。あのオバマ大統領さえもが来日に際してわざわざ「食べたい」と言わしめる神戸ビーフの味とはどんな味?


 神戸発の地域ブランドにして世界に名を馳せている神戸ビーフ。神戸ビーフは食べたことはあっても神戸に来たことはない外国人も多いかもしれませんね。ではなぜここまで神戸ビーフが有名になったのか。それもまた神戸開港と深い関わりがあるのです。では.


開港当時から評判だった神戸ビーフ

 肉食の習慣がなかった日本に、それを持ち込んだのは明治以降に外国からやってきた外国人です。そんな外国人や一部の日本人を相手に1862年、横浜に日本で最初の牛肉店ができました。神戸開港はそれより4年後の1868年。にもかかわらず、すでに神戸ビーフが有名でした。当時、横浜では神戸から牛肉取り寄せており、1865年にはすでに神戸牛がたいへんよい肉であると記された記録が残されています。評判のよい神戸牛の供給にとりかかったのはイギリス人のキルビー、海岸通りに屠畜場と肉店を開業したそうです。

 当初は外国人によって供給された神戸牛ですが、1872年には日本人によって「鳥獣売込商社」が設立され、以降、ほとんど日本人業者によって居留地への牛肉が供給されるようになりました。神戸や横浜の居留地の外国人から評価されることで名声を得た神戸牛は以来改良を重ね今日に至ります。


開港当時から続く老舗で味わう

 さて、神戸開港当時から牛肉を扱うお店が今も残っています。神戸にある大井肉店(1872年創業)と森谷商店(1874年創業)です。そんな老舗で売られている肉はとりわけおいしいに違いない、と同時に、庶民には高値の花のような感じがしませんか。 

 ところがいろいろと調査してみると三宮駅前のそごうの地下で大井肉店の店舗の横にイートインのお店がある!しかもリーズナブル!!ということで行ってきました。




 イートインコーナーはカウンターが7席。お昼は午前11時から午後3時まで、夜は午後4時半から午後7時まで(ラストオーダー午後6時50分)となっていますが、「お料理が品切れとなり次第終了となります」とあるので油断はできない

到着したのは休日の12時前、なのにすでに20人は並んでいました。

メニューは、


・サイコロ弁当       

・大判薄切り弁当     

・焼肉弁当       

・モモステーキ弁当    
でだいたい1,000円〜2,000円


確認はしてませんが、この安さですのであの「神戸牛」かどうかわかりません。でも、神戸港開港当時から続く老舗のお肉がマズいはずがありません。


今回いただいたのは、「サイコロ弁当」と「大判薄切り弁当」


これはサイコロ弁当


 百五十年ほど前、居留地の外国人たちが食べていたお肉を、今、私はこうしてそごうの地下で食べているのだと思うと、いろんな思いが込み上げてきました。それと1時間も待ったせいでお腹がペコペコで、そのおいしさをじっくり味わう前に食べきってしまいましたので、ただ美味しかった!としかコメントできないのが残念です。

 いつか本店のレストランで神戸ビーフ ステーキランチコース 9,000円をいただきながら、開港当時の居留地に想いを馳せたいと思います。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
明治20年築の大井肉店の洋館づくりの店舗が明治村に移築されています。
http://www.meijimura.com/enjoy/sight/building/1-2.html





イートイン「大井肉店」

そごう神戸店 〒651-8511 神戸市中央区小野柄通8丁目18号新館 B1 精肉売場



参考:加藤隆久「ミナト神戸の事始め」戎光祥出版

   大井肉店ホームページ

   http://www.oi-nikuten.co.jp/index.html


取材:小谷未奈