2016年2月29日月曜日

高級中華料理店「東天閣」でランチをいただく 2015/11/12

 
元町からトアロードの坂道を登っていくこと約10分。左側に趣のある異人館が見えてくる。「東天閣」立派な毛筆で金文字の看板と異人館の組み合わせが異文化共生のまち神戸らしい。

趣のある扉をそっと開く。天井にはシャンデリア、床には赤い絨毯、どこかの時代に迷い込んだような不思議な雰囲気。

 今回いただいたのはセレクトランチ。季節の特選サラダ、御飯(ザーサイ付)、ふかひれスープ、デザート、そして料理2品。料理は、「海老のチリソース」、「海鮮炒め」、「麻婆豆腐」、「酢豚」、「あんかけカニ玉」の中から2品選ぶ。私が選んだ料理は、「海老のチリソース」と「あんかけカニ玉」。
まず、手を付けたのは、季節の特製サラダ。しゃきっとしたレタス、剥きエビにかかったマンゴーソースのドレッシング。フルーティーなほんのりとした甘さが、あとの中華によく合う。次に出てきたは「海老のチリソース」。ジワリと口に広がる甘辛さが上品だ。
 上品な香りとまろやかな味わいのふかひれスープを楽しんだ後は、「あんかけカニ玉」。やさしい味わいの餡とカニと玉子のハーモニー。ゆっくりといただけば広がる味わい。そして、デザートのナッツに似た甘さ漂う「ココナッツプリン」でランチはここで終了。ランチは学生でもできる贅沢。でも、いつかは「料理長特選コース」と夢見ながらランチを終えた。

おまけ

 ちょっと欲張って、「鳴門金時芋の飴炊き」をいただいた。神戸新聞にも取り上げられたこともあるという知る人ぞ知る一品。
 まず、芋に絡めてある飴、見た目が天然石っぽい。頬張ると、飴玉を口の中で砕いた食感と鳴門金時の甘さが口いっぱいに広がった。オーナーが幾度も試行錯誤を繰り返してたどり着いたこの食感。
「お土産にお持ち帰りになるお客様がたくさんいらっしゃいますが、できれば飴の食感を楽しんでいただきたいので、お店でできたてを食べていただきたいですね」(支配人の水上さん談)





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創業のころの東天閣 

 北京料理・東天閣の歴史は、70年遡って話さなければならない。空襲で焦土と化した神戸で焼けずに残った異人館ビショップ邸と東天閣の初代オーナーである李考先さんとの出会いは、終戦後すぐであった。戦前、中国・大連からやってきた李さんは、雑居地のあたりで中華料理店を営んでいた。そこで神戸空襲に見舞われる。店は焼け、周りも惨憺たる有様で終戦を迎えた。しかし絶望してもいられなかった。被害が少なかった山の手のほうなら店を開くことができる。北野町あたりで店舗として使える建物を探した。そこで明治27年築の異人館、旧ビショップ邸を紹介された。レストランをやるにはもってこいの品格で空襲にも負けなかった館を店にすることを決めた李さんは、1945年、「北京料理 東天閣」を開いた。



取材協力: 東天閣 神戸市中央区山本通3-14-18  http://www.totenkaku.com/
取材:長田梨華