2015年11月8日日曜日

圧巻、ばら積み貨物船進水式! 2015/10/10

 川崎重工業の神戸工場にて「ばら積み貨物船」の進水式を見てきました。
進水式とは、造船において造船台で組み立てられた新造船舶を初めて水に触れさせる作業・儀式のことです。「ばら積み貨物船」とは梱包されていない穀物・鉱石・セメントなどのばら積み貨物を輸送するための船です。



蟻さんになったような
 朝、川崎重工の門の近くにいくと多くの人が来ていた。すこし肌寒く空も曇っていて天気に恵まれていないにも関わらず、人々はうきうきした表情で工場の中へと向かっていく。
 受付をすまし、船のある場所へと歩いて行く途中に大きな建物がずらりと並んでいてとても迫力があった。造船場をはじめて見た私は、あまりの大きさに圧倒されてしまった。というのも私は大きな建造物を見ると恐怖感を感じてしまうのだ、造船場は私にとって恐ろしい場所だった。
 そして船が見えてきた。予想外に大きくてカメラ初心者の私は、どのように撮ればいいのか戸惑ってしまった。人生で初めて船を間近でみて、周りの人たちと同じくうきうきしていたのを覚えている。
 進水式は10時の予定だった。私は、船尾の方へ向かい川崎重工業の関係者と思しき人達が集まっているステージの下に陣取った。





朝日に映える勇姿はまるで宇宙戦艦ヤマト 
 9時50分、開催予定10分前の会場は船のうんちくがあちらこちらで聞こえてくる。船に関して全く無知な私はそれに耳を傾けつつ写真をとっていた。ちょうどその頃、曇天だった空が船を祝うかのように太陽を出してくれた。一気に日が差し込み暖かくなる。船も雰囲気を変え、さながら宇宙戦艦ヤマトのような勇ましさを出している。

 突如、ファンファーレが鳴りスピーチが始まった。進水式の始まりである。ディズニーやジブリなど船や神戸には全く関係のないBGMが流れ一気にお祭りモードに変わった。スピーチによると、進水式後に訓練をへて実際に使われるそうだ。
 マーチングが鳴り響き、期待を高ぶらせる。船は一向に出ようとしない横浜海軍株式会社の副社長などからの花束贈呈や記念撮影が行われ、船の完成を待ち望んでいたことがわかる。
 ここで国歌斉唱、一気に緊張感が高まる。
 いよいよ、船がでる。と、おもったがまだ早かった。笛が鳴り、この船の名前が発表され大きな拍手が!



シャンパンに清められ、神戸港へと滑り出す


 二度目の笛が高らかと鳴り響く。次はなんだ…と期待と緊張が最高潮に登る。そこにボートが侵入!!式は一時中断、まだまだ焦らされる。
 ほどなくして、式は再開された。ステージの上でボタンを押されると、カコンッと音がなり、船にお酒がかけられた。そうか、これで清めるのか日本酒かな?と疑問に感じた私は近くの作業員に質問をした。すると作業員は「あれはシャンパンですよ。お祝いみたいなもんですね。」と…。私は、国歌斉唱をして国旗を掲げて日本の良い式典を感じていたのだが、ここにきて若干裏切られた気持ちになった…。
 お酒をかけられた船は、スゥーとなめらかに斜面を下って行き無事着水。船尾から紅白の帯をなびかせて旅立っていった。 



 普段は見ることができないばら積み貨物船を間近で見ることができたり川崎重工の工場に入れたり大満足だった。特に良かった点は、事前に船のことを調べておかなくても作業員に質問すればきっちりと答えてくれるところだ。次は1月3日に開催するとまで教えていただけた。また次回、行こうと思える素晴らしい式典だった。

取材: 渋谷和安起